美しいひと

高校生の頃、通っていた学校から少し歩いたところにあるファミレスでバイトをすることになった。

仲のいいお友達がそこでバイトをしていて誘われたのだ。

元々地元の某ハンバーガー店で少しバイトをしていて、
みんなやさしくしてくれたけど
ベテランの年配のおばさんが他のスタッフにキリキリしていて居心地がいいとは言えなかった。(わたしはなぜかおばさんに気に入られていた謎)

時給もファミレスのほうがいいし、地元ハンバーガー店のバイトをフェードアウトして学校近くのファミレスにフェードインした。

ファミレスはまかないはタダじゃないけれど安く注文することができて、
お気に入りの組み合わせがあった。

フレンチトーストとミニツナサラダか
和風ハンバーグとカリカリ梅ごはん

たまにご褒美で少し高めの限定メニュー食べたりもしたけど、
卒業するまでの間このどちらかの組み合わせばかり食べていた。

和風ハンバーグの付け合わせのフライドポテトにハンバーグのタレがしみていて好きだった。

のみものはだいたいカルピスソーダかあんずソーダ(うめソーダのような味)。

炭酸は得意ではないけどバイトの休憩中は炭酸がのみたくなる。

昔から気に入ったものだけ飽きもせずヘビーローテション。

ファミレスのバイトはすごく楽しくて忙しくていつもあっという間だった。

基本的に学校のある平日の学校終わりからしかシフトいれていなかったけれど、
人が足りない日は休日のモーニングから入ることもあった。

バイトにも慣れて常連さんもだいぶ把握したと思っていたなか、
いつからか比較的すいている時間帯のみにあらわれる男の人がいた。

27歳〜32歳くらいにみえたかな。
高校生のときのわたしの見解だからあてにならないけど。

身長は175ないくらいの細身で髪の毛はほんのり栗色のサラサラ、
素敵なスーツを着ていて姿勢がよくて言葉遣いも丁寧で、
声はそんなに低くなかった。

涼しげで格別に美しく整ったお顔で、
ちょっと別の星のひとっぽいなと思っていた。

ファミレスの店長も、「あの人王子だよね、なにやってるひとだろー、」
と言っていた。

認識して数回目くらい。
いつものようにコーヒーを注ぎにまわったときに、

「あの、、目が本当にきれいですね、」

とかすかに震えながら声をかけられた。

常連のおじさんや近所の大学生に可愛いねーと言われてありがとうございますー笑 みたいなやりとりには慣れていたものの、
美しいひとに急にかけられたその言葉に一瞬挙動不審になってしまったら
美しいひとも挙動不審になってしまったので

「初めて言われました。ありがとうございます。」

とお礼だけ言って別のテーブルにコーヒーを注ぎにいった。
わたしよりもあなたのほうが何百倍も美しいですと伝える余裕はなかった。笑

その人が注文するのはきのこハンバーグで、
おかずが3種類のなかから選べるセットメニューを頼んでいた。

おかずは日替わり。

最初はもちろんその人自身が決めていたけれど、
少し会話をするようになってからわたしだったら何にするか聞いてきた。

日替わりおかずのラインナップに海老フライが入っていたら大概わたしは海老フライ推しなのにいつもオススメしたものを注文してくれるので
たまに謎に申し訳なくなって違うものをオススメしたりした。

食後はいつもブレンドコーヒーで(たまにアイスコーヒー)、
やはり姿勢良く過ごしていた。

あきらかにファミレスに似合っていないけど、
近所に気の利いた場所があるかといえばそうでもないので職場が近かったらここに来るのかなぁ?と推測していた。

わたしはバイトが終わると近くのコンビニでちょこっと何かを買う習慣があって、
その日もバイトが終わって近くのコンビニに寄ったらその美しいひとが買い物をしていた。

コンビニにも行くのか!と高校生のわたしは心の中で思った。

「お仕事おわりですか?」と声をかけられ少し話していると、また別のスーツのイケメンがやってきて美しいひとに「知り合い?」ときいてきた。

(類は友を呼ぶというやつか!と高校生のわたしは心の中で思った 2回目笑)

そうしたら、
「いつも行ってるそこの店員さんなんだ。可愛いでしょ!」
と紹介してくれて、
いつも超丁寧語なのに同僚らしき人とは普通に話すんだ!と驚いた。(宇宙人扱い)

そして可愛いとさらっと言ってもらえて、
ひとり心の中でキャッキャしながら帰宅した。

その後もたびたびお話したりしたけれど
高校卒業が近づいてバイトもフェードアウトしていったので美しいひとを見かける回数も減っていった。

ずっと忘れていたけれど、
少女漫画を読んでいたら似た感覚のキュンキュンが過去にあったぞ?と思い出したのでキラキラボックスへ。